ほととぎす鳴きつる方を眺むれば
ただ有明の月ぞ残れる
夏の夜はまだ宵ながら明けぬるを
雲のいづこに月宿るらむ
忘らるる身をば思はず誓ひてし
人の命の惜しくもあるかな
花さそふ嵐の庭の雪ならで
ふりゆくものは我が身なりけり
恋すてふわが名はまだき立ちにけり
人知れずこそ思ひそめしか
由良の門を渡る舟人かぢをたえ
ゆくへも知らぬ恋の道かな
思ひわびさても命はあるものを
憂きに堪へぬは涙なりけり
忘れじの行く末までは難ければ
今日を限りの命ともがな
かささぎの渡せる橋におく霜の
白きを見れば夜ぞ更けにける
君がため惜しからざりし命さへ
ながくもがなと思ひけるかな
瀬を早み岩にせかるる滝川の
われても末に逢はむとぞ思ふ
本歌
さだまさし
「向日葵の影」